「映える個展・盛れる展示」にできる基本その[1] (壁・設置編)


結論から言ってしまうと、

「会場」と「作品」がマッチングすると「映える個展・盛れる展示」になると思っています。


「会場」と「作品」の相性に左右されると言ってしまえばそれまでなのですが、

人間関係と同様、「会場」と「作品」が歩み寄って「映える個展・盛れる展示」を作ることもできると思っています。


これは、初めて個展を開きたい作家さん、

これからギャラリースペースを作りたくて作品を扱いたい会場、

自宅やオフィスで作品を飾ってみたいけど実際にまだ手を出せていない方へ向けて、

入門として簡単に概要をお話ししていこうと思います。


会場の仕様や意向、作品のサイズ・重さ・素材・形状によって、当てはまらない場合もございますので、

あくまでも参考のひとつにして頂ければと思います。


余談ですが、私が普段製作しているチョークアートや看板は、

作品の製作前に設置場所をよく調べるようにしています。


作品を作ってから展示を考える、展示場所を決めてから作品を作る、

いろんなパターンにも応用できる内容にしたいと思っています。


「映える個展・盛れる展示」にできる基本は、3回に分けてお話ししていきます。

近日公開予定
▶︎「映える個展・盛れる展示」にできる基本その2 (レイアウト編)
▶︎「映える個展・盛れる展示」にできる基本その3 (設営道具編)

まずはじめに展示を開催する際の場所で、確認したいポイントを大きく3点まとめました。


①「照明」はどんなものか

②「壁の素材」はどんなものか

③その他の「環境」

①「照明」はどんなものか


第一に「照明」。何より大事な「照明」。


窓の位置、全体の照明の明るさ、人の出入りなどによって、時間も変われば見え方も変わります。


ある程度の時間その場に居てみて、場の空気感や雰囲気を事前に掴むことも大事かと思います。


全体の照明や間接照明は、調光ができるとより演出の幅も広がります。

明るさの調整や、照明の位置の移動のしやすさを考慮しておくと、後に展示替えもしやすいです。

ポイントはスポットの活用


全体の照明や間接照明以外にも、作品用にスポットがあると自然と作品に目が行きやすいです。


大きい作品は2方向から1つの作品に当てることもありますが、

各作品一つ一つか、ひとかたまりにスポットを当てることが多いです。


作品の大きさや展示のレイアウトによっても変わりますが、

反射したりしないように作品が綺麗に見えるスポットの角度に調整します。


コンセントをさして当てるスポットもありますが、天井にダクトレールを取り付けておくと追加や移動もしやすいです。


照明は肉眼では気になりにくいかもしれないけれど、少し離れた場所から見たり、写真を撮った時に顕著に違います。

ツメが甘い例の個展の画像

照明の環境が整っているのに、作品に照明が当たっていないのがバレバレです。

安心してください、撮った後にちゃんとスポットを移動して頂いております。

個展の内容はこちら

その他の照明


ちなみに個人的な好みとワガママですが、

スポットのない蛍光灯のみの雰囲気は絶対イヤだと思っていました。

これも経験だ…と思って一度、蛍光灯の展示会場で個展をする機会がありましたが、

作品もぼちぼち売れたので、思い切って演出を変えてみても新たな発見になるかもしれません。

②「壁の素材」はどんなものか


次に確認したいのは「壁の素材」です。

多くの壁の素材は石膏ボードでできています。

コンクリートの壁は雰囲気が良いですが、取り付け位置を変えるなどの融通がききにくいです。

石膏ボードに釘フックで取り付ける


小さな作品であれば釘フックやビス(ネジ)ではなく

プッシュピンやダルマピンで充分な場合もありますが、

大きい作品や数週間展示するのであれば耐えられるか不安です。


一般的には釘フック(Jフック、Xフック)を使うことが多く、

斜め下に向かって打ち込めばどの場所でも取り付けできます。

石膏ボードにビスで取り付ける


搬出を伴う展示では少ないですが、何年も移動しない取り付けや、頑丈に固定したい場合にビスを使います。


ビスの場合は下地材(芯材・柱)の場所を確認し、下地材に取り付けるようにします。


壁を叩いてみると、コンコンとカラッポで響く音がする場所と、

タンタンと鈍く響かない音のする場所があると思います。

タンタンと鈍く響かない音のする場所が下地材のある場所です。


壁を叩きまくってみると、感覚でわかってくると思います。(ご近所迷惑にならない程度にお試しください。)

それでも探すのが難しければ、下地材を探すセンサーの機材があるので、そちらを利用してみてください。


どうしても下地材のない場所にビスを打ちたい場合は、

ドリルで壁に穴を開けアンカーを入れてからビスを取り付けます。


下地材のない場所に直接ビスを打つと、

石膏ボードがボロボロになってビスがすぐ抜けるので固定ができません。


アンカーを入れるとかなり穴が大きくなるので、
展示が終わったらパテ埋めをしてから壁紙に近い色を絵の具などで塗って、目立たなくさせます。

Hanaeがいつもやっている石膏ボードへの取り付け


私はいつも「かけまくり」というピンを使用しています。

フックを使用して最大耐重量は7kgまでと限られていますが、壁への負担も少ないです。

コンクリートにピンフックで取り付ける

試したことはないのですが、コンクリートにも打てるピンフックというものもありました。

コンクリートにビスで取り付ける

ドリルで壁に穴を開け、アンカーを入れてからコンクリートビスを取り付けます。


場所によっては、ドリルで穴を開けやすい箇所と開けにくい箇所があるかもしれません。

アンカーを入れるより、ドリルで穴を空ける方が大変な作業です。


基本的にはアンカーはずっと入れっぱなしで、作品に掛けている紐の長さで調節などして、

アンカーの位置に合わせて毎回の展示を考えていくと良いと思います。

アンカーを外すのは難しいので、パテ埋めをしてから壁に近い色を絵の具などで塗って、目立たなくさせます。


アンカーが金属である場合、小さな作品の裏に磁石をつけて直接くっつけて展示したこともあります。

卵、鶴、亀のボードの裏にマグネットをつけています。

個展の内容はこちら

ピクチャーレールに設置する


ギャラリースペースとして、一番展示がしやすいのがピクチャーレールです。


ピクチャーレールにピクチャーワイヤーを下げてそこへ作品を掛けて設置します。

安定感があり、追加などの取り外しや上下左右の移動もしやすいです。


デメリットはワイヤーが見えてしまうこと。こればかりはしょうがないです。

気になる方は、透明なピクチャーワーヤーもあるようです。


また、ピクチャーワイヤーに掛けると、作品の上部が手前に倒れて浮いてしまう場合があります。

ピクチャーワイヤーの金具が見えない程度に、

できるだけ作品の上部から吊るすと浮きにくくなります。


それでも浮いてしまう場合は、

ピクチャーワイヤーと壁、もしくはワイヤーと作品をタッカーやホチキスなどで留めたりもします。

タッカーが難しい場合、テープ類で固定することもあります。


舞台裏は、できるだけ隠して見えないようにしたいですよね。


1番作品が浮きにくいのは、ピクチャーワイヤーで二点吊りにし、作品の紐にかけるのではなく、

作品に取り付けた板吊の金具に、直接ピクチャーワイヤーをかけます。

この場合も、ピクチャーワイヤーの金具が見えない程度に、できるだけ作品の上部に取り付けます。


板吊がない場合はヒートンやフックネジを使っています。


また、紐から二点吊りにすると、時間が経つと紐の中心にピクチャーワイヤーの金具が寄ってきます。

ピクチャーワイヤーの金具の近くの紐に括り目などをつけて、ズレないようにすると良いです。


お片づけの話ですが、ピクチャーワイヤーは絡まりやすいので、

保管する際には一定方向にまるめておくなどしておくと使う際に便利です。

番外編


机上があればイーゼルに設置するのも見やすいです。

台などを使用して高低差をつけると、メリハリがつくかもしれません。


物流コンテナを再利用したグループ展では、磁石型のフックを使用しました。


ちなみに壁の色は、白系の方がどんな作品でも映えやすいという印象です…!

でも、好みの問題ですね。

③その他の「環境」


どんな場所でも気をつけるだけで、作品の映える演出ができると思っています。

ですが、展示する環境で作品に影響が出ることもあります。

注意したい高温多湿や直射日光など


まず気をつけたい環境として、室温、湿度と日光。

そして、クーラーや暖房の風が作品に直接当たらないか、入口付近で風が当たらないかを確認します。

作品の素材にもよりますが、室温の変化や湿度、風などの影響で反ったり変形しやすかったり、

直射日光が当たると、色褪せの原因になります。


長く楽しむ目的であれば、作品を作る際に、素材や構造を丈夫にする研究も必要になりますね。

作品に気づかない…!


大きい作品にあるあるの話ですが、そこまで広くない空間だと、

作品と気がつかずに寄りかかって背もたれになってしまう場合があります。


どうしても場所の都合で難しい場合もありますが、

作品を鑑賞できる通路に余裕があるかもチェックしたいポイントです。


作品を観る人が、どのような状態で観るのかをある程度想定しておくと良いかもしれません。

喫煙や匂い


最後に、飲食店の中に併設するギャラリーで、気をつけていただきたいのは「喫煙」と「匂い」。

作品にタバコの匂いがついてしまうことを気にする作家さんは多いです。

もちろん、喫煙できる環境自体も演出にしたい作家さんもいるかとは思います。


作品に限らずですが、喫煙のマナーや食事の匂いなどを配慮できるとトラブルになりにくいのではないかと思います。

まとめ


展示期間中に作品販売をする場合は、配置換えをすることもあります。


また、作品の重さ、数、展示期間やどんな雰囲気を味わう展示にしたいかを考えながら、

設置方法も考えていけたら良いのではないかと思います。


事前に、想定される注意点を理解しておくことも大事になるのかなと思っています。

展示する会場の人、作家、観る人、お互い知識を共有して、より良く快適に楽しめるような展示が増えたら嬉しいです。


作品は、人と人、人と場所を感覚でつないでくれる存在でもあります。


作品に限らず、モノを大事に扱うことができるだけでも、

日常で使うモノへの見方・扱い方も変わってくるのではないかと思っています。

近日公開予定
▶︎「映える個展・盛れる展示」にできる基本その[2] (レイアウト編)
▶︎「映える個展・盛れる展示」にできる基本その[3] (設営道具編)

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